先に結論:期限が決まっている手続きは4つ
退職まわりの手続きは多いのですが、期限を過ぎると取り返しがつかないものは限られています。まずこの4つだけ、カレンダーに入れておけば大きな失敗は防げます。
- 国民健康保険・国民年金への切り替え — 退職日の翌日から14日以内
- 健康保険の任意継続 — 退職日の翌日から20日以内。過ぎると原則として加入できない
- 企業型DC(確定拠出年金)の移換 — 資格を失ってから6か月以内。何もしないと自動移換になり、手数料が引かれ続ける
- 失業保険の受給期間 — 原則として離職日の翌日から1年。手続きが遅れると、もらえる日数が残っていても期限が先に来る
私の場合、退職日は2027年3月31日(水)です。翌日の4月1日から数えると、国保・年金の期限は4月14日(水)、任意継続の期限は4月20日(火)になります。
退職6〜3か月前:条件を書面で確かめ、お金の見通しを立てる
ちょうど今の私がここにいます。この時期にやるのは「手続き」よりも「確認」です。
退職条件を書面で確認する。退職日、離職理由の区分(会社都合かどうか)、退職金の額。口頭ではなく書面でもらっておくと、あとで食い違いません。
企業型DCがあるなら、行き先を考え始める。移す先は、再就職先に企業型DCがあるかどうかで変わります。退職後に慌てないよう、選択肢だけは先に知っておきます。
退職後の住民税を見込んでおく。住民税は前年の所得にかかるので、退職した翌年も「働いていた年」の所得で請求が来ます。生活費の計算に入れておかないと、あとで驚きます。
退職1か月前〜退職日:会社に確認・提出するもの
離職票の「離職理由」を確認する。失業保険の扱いは、離職票に書かれる離職理由で決まります。会社の担当部署に、どの区分で記載されるかを聞いておきます。
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出す。これを出しておくと退職所得控除が効いた税額で源泉徴収され、原則として確定申告は要りません。出さないと、退職金に一律20.42%の税率で源泉徴収されます(確定申告で取り戻すことはできます)。
健康保険をどれにするか決めておく。選択肢は任意継続・国民健康保険・家族の扶養の3つ。任意継続の保険料は加入している健康保険に、国保の保険料は市区町村に聞けば出してもらえます。退職後に比べ始めると、20日の期限に間に合わないことがあるので、ここは退職前に済ませておきたいところです。
住民税がまとめて引かれることを知っておく。1月1日〜4月30日に退職すると、5月分までの住民税が最後の給与や退職金から一括で差し引かれます。私のように3月末退職なら、4月分と5月分です。最後の給与の手取りが少なく見えても、慌てなくて大丈夫です。
退職後14日以内:国民健康保険と国民年金
国民健康保険に加入する(任意継続や家族の扶養を選ばない場合)。手続きは住んでいる市区町村の窓口です。
会社都合退職なら、保険料の軽減を忘れずに。倒産・解雇などで離職した人(雇用保険の特定受給資格者など)は、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算してもらえる制度があります。申請にはハローワークでもらう「雇用保険受給資格者証」が要るので、ハローワークの手続きのあとに、あらためて市区町村へ行くことになります。
国民年金に切り替える(厚生年金の第2号から、国民年金の第1号へ)。市区町村の国民年金の窓口か、マイナポータルからも手続きできます。
配偶者を扶養(第3号)に入れている人は、配偶者も第1号への切り替えが必要です。自分だけ手続きして終わり、にならないよう注意します。
保険料を払うのが苦しい場合は、退職(失業)による特例免除があります。前年の所得にかかわらず申請でき、離職票や雇用保険受給資格者証の写しが必要です。免除された期間も年金の受給資格期間には数えられますが、将来の年金額は、全額納めた場合より少なくなります。
退職後20日以内:任意継続の期限
任意継続を選ぶなら、ここが締め切り。退職日までに継続して2か月以上加入していたことが条件で、加入できるのは最長2年です。この期限は厳格で、過ぎると原則として加入できません。国保と比べて決めかねている人ほど、先にこの日付をカレンダーに入れておくことをおすすめします。
離職票が届いたら:すぐハローワークへ
会社は退職後、決められた期限(おおむね10日)以内にハローワークで手続きをすることになっていて、そのあと離職票が手元に届きます。届いたら、住所地のハローワークで求職の申込みをして離職票を出します。この日が受給資格の決定日になります。
会社都合退職(特定受給資格者)は、7日間の待期のあと給付制限がありません。ただし受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年なので、手続きを先延ばしにすると、もらえる日数を使い切れなくなることがあります。
ここでもらう「雇用保険受給資格者証」は、国保の軽減と年金の特例免除の申請にも使います。コピーを取っておくと便利です。
退職後1〜6か月:書類と税金、DCの移換
源泉徴収票を受け取って保管する。会社は、年の途中で退職した人に退職後1か月以内に源泉徴収票を渡すことになっています。その年のうちに再就職したら、新しい勤め先の年末調整で提出します。年内に再就職しなかった場合は、翌年に自分で確定申告をします。私のように3月末退職だと、1〜3月分の給与は年末調整されていないので、確定申告で税金が戻ってくる場合があります。
住民税を納付書で払う。会社の給与から引かれなくなるので、6月以降は市区町村から届く納付書で自分で納めます。退職前の、収入が多かった年の所得にかかる住民税なので、ここが家計に一番効きます。
企業型DCの資産を移す。再就職先の企業型DCか、iDeCo(個人型)へ移す手続きをします。何もしないと国民年金基金連合会へ自動移換され、運用されないまま手数料が引かれ続けます。
私の場合のカレンダー(2027年3月31日退職)
最後に、ここまでの内容を自分の退職日にあてはめてみました。同じ3月末退職の方は、そのまま使えるはずです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年10月〜 | 退職条件を書面で確認/退職金の税金・DCの行き先・住民税を調べる |
| 2027年2〜3月 | 離職理由の区分を確認/退職所得の受給に関する申告書を提出/健康保険を決める |
| 2027年3月31日(水) | 退職日。最後の給与から4・5月分の住民税が一括で引かれる |
| 〜4月14日(水) | 国民健康保険・国民年金の切り替え(国保を選ぶ場合) |
| 〜4月20日(火) | 任意継続の申請期限(任意継続を選ぶ場合) |
| 離職票が届いたらすぐ | ハローワークで求職の申込み → 受給資格者証で国保の軽減・年金の特例免除を申請 |
| 〜4月30日(金)ごろ | 源泉徴収票が届く(退職後1か月以内) |
| 2027年6月〜 | 住民税を納付書で払い始める |
| 資格を失ってから6か月以内 | 企業型DCの移換 |
| 2028年2〜3月 | 2027年中に再就職しなかった場合は確定申告 |
期限の日が土日祝日にあたる場合の扱いは、手続きごとに違うことがあります。ぎりぎりを狙わず、余裕をもって動くつもりです。
一番の落とし穴は、国保と任意継続の「どちらにするか」を退職後に考え始めることだと思います。期限は14日と20日。比べるための保険料の問い合わせにも時間がかかるので、退職前に決めておくのが現実的です。
もうひとつ、会社都合退職の人が使える軽減や免除は、自分で申請しないと適用されないものばかりでした。ハローワークでもらう受給資格者証が、国保と年金の両方の「鍵」になる。これは調べるまで知りませんでした。
製造業一筋30年、52歳。2027年3月末に会社都合で退職します。手続き、失業保険、50代の転職活動。調べたことと、実際どうだったかを、うまくいかなかったことも含めて記録しています。実際に手続きをしたら、この記事も答え合わせをして書き直します。
※本記事は2026年9月時点で私が調べた内容にもとづく、一般的な手続きの流れです。期限や必要書類は、加入している健康保険・お住まいの市区町村・勤務先の規定によって異なる場合があり、制度は改正されることがあります。実際の手続きは、必ずハローワーク・市区町村・年金事務所・加入している健康保険・税務署などの公的機関にご確認ください。本記事の情報を用いて生じた損害について、責任を負いかねます。



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