企業型確定拠出年金は退職するとどうなるか|移換の手続きと受け取り方で変わる税金

企業型確定拠出年金は退職後6か月放置すると自動移換になる 退職の手続き

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2027年3月末の会社都合退職に向けて、今度は企業型確定拠出年金(企業型DC)について調べました。私の勤務先では「ライフプラン手当」という形で、その額を毎月の給与として現金で受け取るか、確定拠出年金の掛金に回すかを自分で選べる仕組みになっています。私は2014年から、掛金に回すほうを選び続けてきました。

ところが、退職したらこの積み立てがどうなるのか、私はまったく知りませんでした。調べてみると、知らずに放置すると手数料が引かれ続けること、そして受け取り方によって税金がかなり変わることがわかりました。この記事は、その下調べの記録です。

そもそも「選択制」の企業型DCとは

企業型確定拠出年金には、会社が掛金を出してくれるタイプのほかに、ライフプラン手当などの名前で支給枠が用意され、それを現金で受け取るか掛金に回すかを従業員が選ぶタイプがあります。選択制DC、給与切替型などと呼ばれます。

掛金に回した分は給与として扱われないため、所得税・住民税と社会保険料の計算の対象から外れます。その代わり、給与の額をもとに決まる各種の給付にも影響します。どちらが有利かは人によって違うので、ここでは深入りしません。

私の場合は、2014年に選択して以来ずっと掛金に回してきたので、掛金を出していた期間はおよそ13年になります。この「13年」が、あとで税金の話に効いてきます。

退職すると、積み立てた資産はどうなるのか

退職すると、その会社の企業型DCの加入者としての資格を失います。ただし、積み立てた資産が消えるわけではありません。

資産はいったん運用中の商品が売却され、現金の状態になります。そして、次の行き先に移すまでの間、そのまま待機します。

ここで大事なのが、その場で解約して銀行口座に引き出すことは原則としてできないという点です。確定拠出年金は老後の資産形成のための制度なので、原則60歳まで、制度の中で持ち続けることになります。

そして、資格を失ってから6か月以内に、自分で移す手続きをする必要があります。ここが最初の関門でした。

行き先は、再就職できるかどうかで変わる

移す先は、退職後の状況によって変わります。調べた範囲では、おおむね次のように整理できます。

退職後の状況資産の行き先掛金を出せるか
再就職先に企業型DCがある再就職先の企業型DCへ移換再就職先の制度に従う
再就職先に企業型DCがないiDeCo(個人型)へ移換出す・出さないを選べる
すぐには再就職しないiDeCo(個人型)へ移換条件つきで選べる(後述)
6か月以内に何もしない自動移換(国民年金基金連合会)出せない

iDeCoへ移した場合、そこから先の立場は2つに分かれます。

加入者は、自分で掛金を出して積み立てを続ける立場です。運用指図者は、新しい掛金は出さず、いまある資産の運用の指示だけを行う立場です。この違いが、あとで出てくる税金の話で大きく効いてきます。

なお、再就職先に企業型DCがある場合にiDeCoを選べるかどうかは、その会社の規約によって変わるようです。ここは断定できないので、再就職先が決まったら確認しようと思います。

また、資産を現金として受け取る「脱退一時金」という制度もありますが、資産額や加入期間などの要件が厳しく、多くの人は該当しないとされています。私も期待はしていません。

何もしないと「自動移換」になる

6か月以内に手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会へ自動的に移されます。これが自動移換です。放置していただけで、こうなります。

自動移換になると、次のようなことが起きます。

起きること内容
手数料が引かれる移されるときと、その後の毎月と、そこから抜け出すときの3回
運用されない現金のまま置かれるだけで、増えることはない
期間に算入されない自動移換されていた期間は、加入者だった期間として通算されない

手数料は2026年4月1日に改定されています。国民年金基金連合会の案内によると、改定後の額は次のとおりです。

いつかかるか金額(税込)
自動移換されるとき4,348円(1,048円 + 3,300円)
自動移換されている間月98円(40円 + 58円)= 年1,176円
そこからiDeCo等へ移すとき550円

ひとつずつの額は大きくありません。ただ、運用されないまま毎月引かれ続けることを考えると、放置していい理由はひとつも見当たりませんでした。

個人的にこたえたのは、3つめの「自動移換されていた期間は通算されない」という点です。この期間の意味は、次の項目でわかりました。

参考: 自動移換にかかる手数料改定のお知らせ|国民年金基金連合会(PDF)

いつから受け取れるのか

確定拠出年金の老齢給付金は、原則として60歳から受け取れます。ただし、誰でも60歳ちょうどから受け取れるわけではありませんでした。

受給を開始できる年齢は、「通算加入者等期間」という期間の長さで決まります。60歳の時点でこの期間が10年以上あれば60歳から、10年に満たないと、期間の長さに応じて受給開始が段階的に遅くなります。

この通算加入者等期間には、掛金を出していた期間(加入者期間)だけでなく、掛金を出していなかった期間(運用指図者期間)も含まれます。ほかの企業年金から移してきた資産がある場合、その分の年数が加わることもあります。

私の場合、2014年から掛金を出しているので、2027年3月の退職時点でおよそ13年。60歳から受け取れる計算になります。受け取りは最長75歳まで先送りすることもできるそうです。

ここまでは、正直そこまで驚きはありませんでした。問題は次でした。

受け取り方で税金が変わる

受け取り方は、大きく分けて3つあります。

受け取り方税金の扱い使える控除
一時金(まとめて)退職所得退職所得控除
年金(分割)雑所得公的年金等控除
併用上の両方両方(制度が対応していれば)

ここで、前回調べた退職金の税金の話とつながります。一時金で受け取ると、退職金と同じ「退職所得控除」の枠を使うことになるのです。

「19年ルール」で控除が調整される

調べていて一番知らなかったのが、ここでした。

確定拠出年金の一時金を受け取るとき、その前年以前19年以内に会社の退職金を受け取っていると、期間が重なっている分だけ退職所得控除が差し引かれます。「19年ルール」と呼ばれているものです。

私の場合、2027年3月に会社の退職金を受け取り、確定拠出年金の一時金は60歳以降です。19年どころか、10年も空きません。つまり、この調整は避けられないということになります。

なお、順番が逆(確定拠出年金の一時金を先に受け取り、あとで会社の退職金を受け取る)の場合は判定期間が短く、こちらは2026年1月から「5年」が「10年」に変わっています。ネット上には改正前の「5年ルール」を前提にした解説がまだ残っているので、注意が必要だと感じました。私のように退職金が先の場合は、そもそも19年のほうが適用されるので、「5年ずらせば有利」という話は当てはまりません。

計算のしかた

調べた範囲では、次の順番で計算するとされていました。

手順内容
1会社の退職金で実際に使った控除額から「みなし勤続年数」を逆算する(1年未満切捨)
2確定拠出年金の掛金を出していた期間に対応する控除額を出す(1年未満切上)
31と2が重なっている期間に対応する控除額を出す(1年未満切捨)
42 − 3 が、一時金を受け取るときの退職所得控除額になる

ポイントは1つめです。みなし勤続年数は、勤続年数そのものではなく「退職金で実際に使い切った控除額」から逆算するとされています。退職金が控除枠より小さければ、みなし勤続年数も短くなり、確定拠出年金の側に残る控除が増える、という理屈になります。

掛金を出し続けるかどうかで、控除の年数が変わる

そしてここが、今回いちばん大きな発見でした。

退職所得控除の計算に使う「勤続年数」は、掛金を出していた期間だけとされています。運用指図者だった期間は、さきほどの通算加入者等期間には含まれるのに、退職所得控除の年数には含まれません。

同じ「期間」という言葉でも、受給開始年齢を判定するときと、税金を計算するときで、中身が違うということでした。ここは正直、読み違えそうになりました。

どのくらい違うのか、私の条件で計算してみます。会社の勤続年数は20年です。そして退職金と退職加算金の合計は、控除枠(40万円 × 20年 = 800万円)を上回る見込みです。

つまり私の場合、退職金の時点で控除を使い切ることになります。さきほど書いた「退職金が控除枠より小さければ、みなし勤続年数が短くなって確定拠出年金の側に控除が多めに残る」という展開は、期待できないということです。みなし勤続年数は20年になります。

確定拠出年金の掛金を出していた期間は、退職の時点でおよそ13年です。

A:運用指図者になるB:60歳まで掛金を出す
掛金を出した期間13年のまま13年 + 7年 = 20年
その期間の控除額40万円 × 13年 = 520万円40万円 × 20年 = 800万円
重なる期間の控除額40万円 × 13年 = 520万円40万円 × 13年 = 520万円
差し引き後の控除額0円280万円

同じ資産でも、掛金を出し続けたかどうかで、一時金に使える控除枠が変わるという計算になります。掛金を出さずに待っていた期間は、年数として数えてもらえないからです。

ここで置いた条件は、私自身の勤続年数と拠出期間に沿ったものです。ただし、この控除枠で足りるかどうかは、そのときの資産額によります。資産の額はここには書いていませんし、60歳までの運用しだいでも変わります。年数の数え方にも1年未満の切り上げ・切り捨てがあるので、実際の額は運営管理機関や税務署で確認するつもりです。

一時金にこだわらない選び方もある

控除枠が足りないなら、一時金ではなく年金として分割で受け取るという選び方もあります。この場合は雑所得となり、退職所得控除ではなく公的年金等控除を使うことになります。

60歳から65歳までは公的年金が支給されないので、その空白の期間の生活費にあてるという考え方もできます。運営管理機関によっては、一時金と年金を組み合わせられる場合もあるようです。

どれが有利かは、資産額と、そのときの他の収入によって変わります。ここは断定できません。私も60歳までまだ時間があるので、その間に運営管理機関に確認しながら決めようと思っています。

2026年12月から、制度が変わる

調べている途中で気づいたのですが、iDeCoの制度が2026年12月1日から変わります。2027年1月の掛金から、変更後の内容が適用されるとされています。

私が退職するのは2027年3月なので、最初から改正後の制度でスタートすることになります。

項目現行2026年12月から
加入できる年齢65歳未満70歳未満
第1号(自営業など)月68,000円月75,000円
第2号(会社員・企業年金なし)月23,000円月62,000円
第2号(会社員・企業年金あり)月20,000円月62,000円(他制度と合算)
第3号(専業主婦・主夫)月23,000円月23,000円(変更なし)

加入できる年齢が70歳未満まで広がるのは、私のような50代にとっては大きいと感じました。ただし、老齢基礎年金や確定拠出年金の老齢給付金をすでに受け取っている場合は対象外とされているので、受け取りを始めるタイミングとの兼ね合いになりそうです。

再就職できなかった場合に、気をつけること

ここまでは「掛金を出し続けたほうが年数が伸びる」という話でした。ただ、出したくても出せない場合があることも、調べていてわかりました。

退職して再就職しない場合、国民年金の第1号被保険者になります。このとき、収入が途絶えるので国民年金保険料の免除を検討することになるかもしれません。

ところが、国民年金保険料の免除や猶予を受けていると、iDeCoの加入者にはなれないとされています。すでに加入者だった場合も、免除が認められた時点で資格を失い、運用指図者になります。

免除が終わって全額納付に戻せば、あらためて加入できるとのことでした。ただ、免除を申請するかどうかが、確定拠出年金の側にも影響するという関係は、まったく想像していませんでした。

もうひとつ。掛金の所得控除は、そもそも所得がなければ意味がありません。失業給付は非課税なので、給付を受けている間に収入がそれだけであれば、掛金を出しても税金が安くなる余地はないことになります。

ただ、さきほど見たとおり、掛金を出した期間の長さは退職所得控除の年数にも効いてきます。「いま税金が安くなるか」だけで判断すると、あとで効く部分を見落とすかもしれない。そう感じました。

私がこれからやること

今回の下調べで、やることがはっきりしました。

いつやること
再就職の面接の段階企業型DCがあるかどうかを確認する
退職後6か月以内移換の手続きを必ず終わらせる(放置しない)
移換のとき加入者になるか運用指図者になるかを決める
60歳までの間に一時金・年金・併用のどれで受け取るかを決める

掛金を出し続けるかどうかは、再就職できるかどうかと、そのときの収入が決まらないと判断できません。年数が伸びる意味は理解しましたが、生活費を削ってまで出すものではないとも思っています。

ひとつだけ、いま決めているのは「放置だけはしない」ということです。手続きを忘れただけで手数料が引かれ、期間も数えてもらえなくなる。これは避けられる損だと感じました。

まとめ

調べてわかったことを、3つに絞ります。

ひとつめ。退職後6か月以内に移す手続きをしないと自動移換になり、運用されないまま手数料が引かれ続けます。その期間は、加入者だった期間としても数えてもらえません。

ふたつめ。一時金で受け取る場合、退職金を先に受け取っていると、19年以内は控除が調整されます。私のように退職金が先の人には、「受け取りを5年ずらせば有利」という説明は当てはまりません。

みっつめ。退職所得控除の年数に数えられるのは、掛金を出していた期間だけです。運用指図者でいた期間は、受給開始年齢の判定には含まれても、控除の年数には含まれません。

制度の名前も似ていて、期間の数え方も場面によって違う。正直、一度読んだだけでは頭に入りませんでした。ただ、退職の6か月前後で判断を迫られることは間違いないので、早めに調べておいてよかったと思っています。

実際の手続きや金額は、加入している企業型DCの運営管理機関、勤務先の担当部署、そして税金については税務署でご確認ください。

この記録について

製造業一筋30年、52歳。2027年3月末に会社都合で退職します。手続き、失業保険、50代の転職活動。調べたことと、実際どうだったかを、うまくいかなかったことも含めて記録しています。

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※本記事は制度を調べた時点(2026年8月)での一般的な内容です。退職所得控除の計算例は、勤続年数と拠出期間を私自身の条件に沿って置いたものですが、確定拠出年金の資産額に基づく試算ではありません。制度の内容・手数料・限度額は改正されることがあります。実際の手続きと金額は、加入している確定拠出年金の運営管理機関、お勤め先の担当部署、税務署・税理士にご確認ください。本記事は特定の金融商品や運用方法を推奨するものではありません。本記事の情報を用いて生じた損害について、責任を負いかねます。

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